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「自然の恩恵、生命の遺産を、
      いかに次世代に伝えるか」


「知恵で作品を創る方」というエールに応えて山田さんも、率直に健康食品への疑問をぶつけます。

瀬ノ上 つまり、病院にあるのは全て合成の医薬品で、こういうものは言わば火事場の消防車であって、急場をしのぐ役には役立つけれど、長期間使っていると不都合が起こってくる。ちょっと壁がはがれたといった程度の体の不調には、お宅の会社で売っているようなものがいいのよ、とおっしゃる分けですね。

山田 それは確かにうなずけるお話ですね。例えば塩にしても、精製しすぎてしまって、本来塩が持っている複雑な栄養分が、余分なものとして省みられないということがあると思います。それは、はっきりとは分析しきれない、微妙な成分ではあるんでしょうけど、そういうものを丸ごと含んでいるからこそ、素晴らしい存在なんでしょうね。

瀬ノ上 ええ。ですから、クロレラやローヤルゼリーの成分を御覧になって、これなら何も健康食品でなくても、ビタミン剤でいいじゃないかとおっしゃる方がいらっしゃるんですけど、そうではないと申し上げているんです。こうしたものは、地球が教えてくれた生命力を高める知恵ですから、知識の積み重ねで謎を解くというようなものではない。実際、こうした自然の知恵を体質に合わせて摂り入れると、薬以上の効果があるということを、私どもはお客様とともに経験的に学んできたわけですね。

次の世代に受け継ぐ確かな知恵

山田 そのあたりを少し詳しくうかがいたいのですが‥‥。つまり、どの世界でもいいものと悪いものがあって、その見分け方がとても難しいわけですね。我々の世界でいえば視聴率がよければいいかといったら、必ずしもそうではない。とはいえ、視聴率が悪ければいい作品かといえば、勿論そんなことはない(笑)。売れる売れないという価値観では、なかなかいいものを見抜くのは難しい。その点、健康食品というものは口に入れるものですから、悪ければ実害を伴うわけですね。社長さんも、始めからそのご専門ではなかったということですが、どんなふうに商品を選別してこられたのでしょうか。

瀬ノ上 私どもは、この商売をはじめて十六年になるのですが、初めのうちは家族を養うために、儲けにゃならんと思ってやっておりました。ところが、だんだんいいお客様が増えてきて、魂の交歓ができるようになりますと、知識でなく知恵の世界で気付かされることがたくさんあるわけですね。

例えば、たまたま弊社のお得意様と癌患者のお客様とが、私どもの店でご一緒になられたことがありました。そのお得意様は、「お墓に手を合わせて拝むばかりが先祖供養じゃありませんよ。血筋という言葉があるように、あなた自身の血をきれいにするのも、先祖供養なんです。」とおっしゃるんですね。

山田 なるほど。

瀬ノ上 私、これは、すごいことをおっしゃるなと思いました。そこで、改めて私自身が受け継いだ知恵を振り返ってみますと、たとえば小さい頃、一升瓶を持って醤油を買いにやらされたとき、「一番高いのを買っておいで」と言われたのはなぜか?母は「味がのびるから」と言ったんですね。つまりは、高い醤油だと二さじぐらいでも、うまいお吸物ができるけど、安い醤油は五さじ入れてもうまくならない。これは、塩分を控えるという意味からもうまくないわけですね(笑)。

山田 ほう、そういうものですか‥‥。(次週につづく)


山田太一 やまだ・たいち

1934年東京浅草生まれ。
早稲田大学教育学部卒業後、
松竹大船撮影所演出部に入所、
65年フリーに。
以後、家庭を主要にテーマとした数々の作品で テレビドラマに独自の新境地を開く。 大学時代の同級生である奥様との間に 一男二女がある。
著書に「異人たちとの夏」、「ふぞろいの林檎たち」など多数。

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